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こたつ兼用ローテーブル

サイズ:幅80cm×奥80cm×高38cm

樹種:ウォールナット(くるみ)

オイル仕上げ

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たまたま工房の近くを散歩されて当工房を見つけていただき、その後ホームページをご覧になり、お問い合わせをいただきました。

ご注文は「こたつ兼用ローテーブル」でした。シンプルなデザインをということで、出来るだけ装飾を外したものにしました。また、樹種は落ち着いた色のウォールナットをお選びいただきました。

最初ご依頼いただいた内容が「こたつ」と聞いて一瞬躊躇しました。と言うのも、無垢の木の家具の中でも、こたつは最も過酷な環境だからです。無垢の木は、急激な温度や湿度の変化にあまり強くありません。ご存じの通り、無垢の木は温度や湿度の変化により、伸び縮みや反りが発生し、最悪は割れなどが生じます。ですので、通常こたつは無垢の木を使用せず、合板にプリントした化粧合板を張り付けたものを使用します。合板は反り割れなどが起こりにくいからです。

でも、そこは無垢の木を使う木工家の腕の見せ所。無垢でも反りや割れが起こらない工夫をしました。

問題が発生しやすいのが、天板です。これには「端ばめ」と「吸い付き蟻桟(ありさん)」という二つの技法を用いました。通常のテーブルは「吸い付き蟻桟」だけで十分なのですが、こたつのやぐら本体に天板を載せるため、どうしても端まで蟻桟を通すことができません。それをカバーするために、「端ばめ」を天板の端から端まで通すことで、全体的な反りを防止します。

下の写真の両端の木目と直角に接している部材が「端ばめ」です。これをただ固定して取り付けているわけではなく、天板の伸縮を妨げないように天板側にホゾという出っ張りを、端ばめ側にはホゾ穴を掘り、それを差し込んで接合しています。そしてこれらが抜けてしまわないように裏側から木の栓を打ち込んでいます。この栓も伸縮を妨げないような工夫をしています。

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下の写真は天板裏に取り付けた「吸い付き蟻桟」です。この吸い付き蟻桟は、天板下に出っ張り、やぐら本体上面に沈み込む形となります。こたつとして使用する場合には、布団とこすれてしまいますので、角を丸く削って、布団が傷まないようにしています。

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この二つの技法は、どちらも天板の反りを防止するものですが、通常はこのどちらかを使用します。両方使用するということはあまりありません。ですが、「こたつ」という過酷な条件では、これぐらいはしないといけません。

今回、依頼された方が直接工房にお越しいただき、オイル塗装をお手伝いいただきました。オイルを塗るとウォールナットの木目が鮮やかに浮かび上がり、ぐっと引き締まった落ち着いた色になりました。オイル塗装前と後の変化が楽しめるのは、ウォールナットならではです。

<お客様の声>

和室にも洋室にも合う炬燵をお願いしました。「飾らない、古くからあるちゃぶ台のように一年中使えるものを」とお伝えしました。色は和家具のような濃いめで。炬燵は熱による木への負担が大きいらしいのですが、細部に至るまで計算し尽くされた施工をしてくださいました。コード等の収納まで作って頂いて。仕上げのオイル塗装を手伝えたことでより愛着が湧きました。イメージ以上の仕上がりに毎日嬉しくて、ログさんにお願いして本当によかったと思っています。ありがとうございました!

大変喜んでいただき、作って良かったなとしみじみ思います。どうぞ末永く可愛がってあげてください!